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​次世代ブログ

黄砂とは?発生原因・影響・対策を徹底解説

  • 執筆者の写真: UR
    UR
  • 3月26日
  • 読了時間: 14分

はじめに〜知っておきたい黄砂の基礎知識

春になると、空が霞んで見えたり、洗濯物や車に黄色い砂のようなものが付着したりすることがあります。これは「黄砂(こうさ)」と呼ばれる現象で、遠く離れた砂漠地帯から風に乗って運ばれてくる砂や塵が主な原因です。日本に住む私たちにとって、黄砂は単なる季節の風物詩というだけでなく、健康や生活環境に様々な影響を与える可能性があります。


本稿では、黄砂とは一体何なのか、どこから来て、どのような影響があるのか、そして私たちにできる対策はあるのかについて、詳しく解説していきます。最近は特に、「黄砂に注意して下さい」などとニュースでも連日報じられており、その対策はマストです。


黄砂の発生源

目次


  1. 黄砂とは?その正体

黄砂とは、強風によって巻き上げられた砂や塵が大気中に浮遊し、広い範囲にわたって降下する自然現象のことです(鉱物粒子含む)。黄砂の主成分は、石英や長石といった岩石を構成する鉱物や、雲母、カオリナイト、緑泥石などの粘土鉱物。興味深いことに、日本にまで到達する黄砂の粒子は、その移動中に大気中の様々な物質を取り込むことがあります。例えば、アンモニウムイオン、硫酸イオン、硝酸イオンといった、本来の土壌には含まれていない成分が検出されることも。これは、黄砂が工場や自動車から排出される大気汚染物質を吸着しており、単なる砂ぼこり以上の複雑な組成を持っていることを意味します。


日本で観測される黄砂の粒子は、一般的に直径約4マイクロメートル程度。この非常に小さな粒子径が、黄砂が遠くまで運ばれる理由の一つであり、また、私たちの健康への影響を考える上で重要なポイントとなります。なぜなら、これほど小さな粒子は、呼吸によって容易に体内に取り込まれ、呼吸器系の奥深くまで到達する可能性があるからです。


ゴビ砂漠

  1. 黄砂はどこから来る?発生源と日本への輸送メカニズム

日本に飛来する黄砂の主な発生源は、東アジアの内陸部に広がる乾燥・半乾燥地域です。具体的には、中国北西部のタクラマカン砂漠、中国北部からモンゴルにかけて広がるゴビ砂漠、そして中国北部の黄土高原が主要な発生源として知られています。これらの地域は、広大な面積を持ち、乾燥した気候と少ない植生が特徴であるため、一旦強風が吹くと大量の砂塵が舞い上がりやすい環境にあります。


黄砂が発生するメカニズムは、まずこれらの乾燥地域で強い風が吹くことが必要です。特に春先は、雪解け後に地表が乾燥し、植物の生育もまだ十分ではないため、砂や塵が風によって容易に巻き上げられます。こうして数千メートルの高さまで舞い上がった砂塵は、上空を吹く強い西風、特に偏西風に乗って東へと運ばれます。偏西風は地球規模の風の流れであり高度では非常に強いため、微細な黄砂粒子は数千キロメートルも離れた日本まで、比較的短時間で到達することになります。発生源付近では、砂塵嵐(砂嵐)と呼ばれる、視界が極端に悪くなるほどの現象が起こることも珍しくありません。

砂塵嵐

黄砂は自然現象ですが、近年、その発生頻度や規模が増加傾向にあるという指摘もあります。これは、中国やモンゴルにおける過剰な伐採、放牧、耕作、そしてそれに伴う砂漠化の進行が原因の一つと考えられています。人間の活動が、自然現象である黄砂に影響を与えている可能性があることは注目すべき点です。また、黄砂の発生源となる乾燥地域の面積は非常に広く、日本の国土面積の数倍にも及ぶため 、日本国内だけの対策で完全に防ぐことは難しいという側面も...。


  1. 黄砂の発生時期と飛来しやすい地域

日本では、黄砂は主に春先、具体的には3月から5月にかけて観測されることが多いです。この中でも、特に4月頃に飛来のピークを迎えることが多いとされています。これは、黄砂の発生源である中国大陸の砂漠地帯や黄土地帯で、雪解け後に地表が乾燥し、強い西風が吹きやすくなるためです。ただし、気象条件によっては春以外の季節にも黄砂が飛来することがあるので注意です。


日本国内で黄砂が多く観測される地域は、一般的に西日本、特に九州や中国地方です。これは、これらの地域が中国大陸に近く、偏西風に乗って運ばれてくる黄砂の影響を受けやすいためと考えられています。関西の中心都市である大阪も、黄砂の被害に遭いやすい地域の一つです。一方、東日本では比較的黄砂の観測頻度や濃度は低い傾向にありますが、大規模な黄砂の飛来時には、広い範囲で影響を受けることがあります。


黄砂の飛来量や時期は、その年の気象条件によって大きく変動します。そのため、気象庁や環境省、ニュース番組が提供する黄砂情報を常に確認し、最新の状況を把握しておくことが重要です。特に、黄砂の濃度が高くなることが予想される場合には、事前に注意喚起が出されることがありますので、これらの情報に注意し、適切な対策を講じましょう。


  1. 黄砂が人体に与える影響と健康リスク

日本に飛来する黄砂は、私たちの健康に様々な影響を与える可能性があります。特に、呼吸器系、アレルギー症状、そして循環器系への影響が懸念されています。


呼吸器系への影響としては、黄砂に含まれる微細な粒子が気管や肺に侵入し、気道を刺激することで咳や喉の痛みといった症状を引き起こすことがあります。また、喘息や気管支炎といった既存の呼吸器疾患を持つ人は、黄砂によって症状が悪化するリスクが高まります。研究によっては、黄砂の飛来と呼吸器疾患による入院者数の増加や肺炎の発症との関連も示唆されているほどです。


アレルギー症状としては、黄砂が目や鼻、皮膚などに付着することでかゆみ、結膜炎、鼻水、くしゃみ、皮膚炎などを引き起こすことがあります。黄砂自体がアレルギーの原因となるだけでなく、花粉症などの既存のアレルギー症状を悪化させる可能性も指摘され、これは黄砂の粒子がアレルギーを引き起こす他の物質(例えば、大気汚染物質やダニ、花粉など)を吸着して運んでくるためと考えられています。そのため、これまで花粉症ではなかった人が、黄砂の時期に花粉症のような症状を発症することも多々あります。特に春先、花粉症ではないのにくしゃみや目の痒みといった症状が現れたら、それは黄砂による影響が高いです。


さらに近年では、黄砂の飛来と循環器疾患との関連も研究されています。特に、高齢者や糖尿病、慢性腎臓病などの基礎疾患を持つ人は黄砂の影響を受けやすいと報告されています。研究によっては、黄砂の飛来時に脳梗塞や心筋梗塞の発症数が増加する傾向も一部では報告されており、植込み型除細動器を使用している人では不整脈との関連も示唆されています。ただし、これらの関連についてはまだ研究が進められており、詳細なメカニズムは解明されていないのであくまでも参考程度にしましょう。


黄砂による体調不良の主な症状としては、目のかゆみ、鼻水、くしゃみ、喉の痛み、咳、頭痛、皮膚のかゆみなどが挙げられます。特に子どもや高齢者は影響を受けやすいと言われ、黄砂が飛来している日に屋外にいる時間が長いほど、症状が出やすいことも報告されています。黄砂によるアレルギー症状は花粉症の症状と非常に似ているため、自己判断が難しい場合があります。症状が続く場合や重い場合は、医療機関を受診することも大切です。


症状

影響を受ける部位

重症度

おすすめの対策

目のかゆみ、結膜炎

軽度~中度

清潔な水で洗い流す、点眼薬を使用(医師の指示に従う)

鼻水、くしゃみ、鼻づまり

軽度~中度

マスク着用、鼻うがい、抗ヒスタミン薬を使用(医師の指示に従う)

喉の痛み、咳

喉、気管支

軽度~重度(呼吸器疾患を持つ場合は特に注意)

加湿する、水分補給、咳止め薬を使用(医師の指示に従う)

皮膚のかゆみ、皮膚炎

皮膚

軽度~中度

保湿する、ステロイド外用薬を使用(医師の指示に従う)

頭痛

軽度

安静にする

呼吸困難、胸の痛み

肺、心臓

重度(特に呼吸器・循環器疾患を持つ場合)

直ちに医療機関を受診する



  1. 黄砂が環境に与える影響

黄砂は私たちの健康だけでなく、環境にも様々な影響を及ぼします。


土壌への影響としては、黄砂が堆積することで長期的には土壌にミネラルなどの栄養分を供給する可能性があります。しかし、大量の黄砂が降下すると、農作物の葉を覆い、光合成を妨げることで生育不良を引き起こしたり、ビニールハウスなどに堆積して遮光障害を起こしたりすることがあります。また、黄砂の発生源である乾燥地域では、強風による土壌の流出が進行し、砂漠化を助長する可能性も指摘されています。


水質への影響としては、黄砂が河川や湖沼に降り注ぐと、そこに含まれる栄養分が原因で、プランクトンが異常に増殖する富栄養化を引き起こすことがあります。これにより、水中の酸素が不足し、魚介類などの水生生物に悪影響を与える可能性も。


大気汚染への影響は複雑です。黄砂自体が微小な粒子状物質(PM)であり、大気中のPM濃度を上昇させます。さらに、黄砂の粒子が移動中に工場や自動車から排出される硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)などの汚染物質を吸着することが知られており、これが酸性雨の原因の一端にもなっています。また、黄砂の飛来は視界を悪化させ、航空機の離着陸や自動車の運転などに支障をきたすことがあります。


その他にも、黄砂は建物や車、洗濯物を汚したり 、精密機械工場などでは製品の不良を引き起こしたり、学校が休校になったりする事例も報告されています。また、ごくまれに、黄砂によって航空機の欠航といった大規模な交通障害が発生することもあります。


一方で、黄砂には環境にとって良い側面も指摘されています。例えば、海洋に降り注いだ黄砂は海中にミネラルを供給し、植物プランクトンの栄養源となることがあります。また、黄砂に含まれるアルカリ成分が大気中の酸性物質を中和し、酸性雨の発生を抑制する効果も期待されています。このように、黄砂は単に厄介な自然現象というだけでなく、地球の環境システムの中で複雑な役割を果たしていると考えられています。


  1. 黄砂の発生を防ぐには?個人と社会レベル

黄砂の発生を完全に防ぐことはほぼ不可能ですが、その影響を軽減するための対策は、個人レベルと社会レベルの両方で考えることができます。


個人レベルでできる対策としては、まず、気象庁などが提供する黄砂の予測情報をこまめに確認し、黄砂の飛来が予想される日には不要不急の外出を控えたり、屋外での活動を短時間にとどめたりすることが重要です。洗濯物は部屋干しにする、窓やドアの開閉を必要最小限にするなど、黄砂が室内に入り込むのを防ぐ工夫も大切です。室内に侵入した黄砂は、こまめに掃除機をかけたり拭き掃除をしたりして除去しましょう。空気清浄機を使用することも、室内の黄砂対策として有効です。外出時には、マスクやメガネを着用し、黄砂を吸い込んだり、目に入ったりするのを防ぎましょう。帰宅後はうがい、手洗い、洗顔をしっかり行い、体に付着した黄砂を洗い流すことも大切です。


黄砂対策に有効な空気清浄機

社会レベルでの対策としては、黄砂の主な発生源である中国やモンゴルといった国々との国際協力が不可欠です。砂漠化の進行を食い止めるための植林活動や、土地の保全、持続可能な土地利用などを共同で推進していくことが求められます。また、東アジア地域全体での大気汚染物質の排出削減に向けた取り組みも、黄砂の影響を軽減する上で重要となります。さらに、黄砂の発生や飛来状況をより正確に予測するための観測体制の強化や早期警戒システムの構築も、被害を最小限に抑えるために役立ちます。


個人レベルでの対策は、花粉やPM2.5など他の微小粒子状物質への対策と共通する部分が多く 、これらの対策を日常的に行うことが、黄砂対策にもつながります。しかし、根本的な解決には、発生源での環境改善に向けた国際的な協力と、長期的な視点での取り組みが不可欠です。


  1. 黄砂対策にマスクは有効?推奨される種類と理由

黄砂対策としてマスクの着用は有効な手段の一つです。市販されている一般的な不織布マスクでも、ある程度の黄砂粒子の吸い込みを防ぐ効果が期待できます。しかし、より高い効果を期待するのであれば、高性能なマスクを選ぶことが推奨されます。   


マスクの性能を示す指標としては、PFE(微粒子濾過率)、BFE(細菌濾過効率)、VFE(ウイルス飛沫濾過効率)などがあります。黄砂の粒子径は約4マイクロメートルですが、より小さな粒子や黄砂に付着している可能性のある汚染物質も考慮すると、0.1マイクロメートル以上の微粒子をどれだけ捕集できるかを示すPFEの基準を満たしたマスクを選ぶと良いでしょう。PFE95%以上の表示があるマスクは、0.1マイクロメートル程度の微粒子を95%以上捕集できるとされており、黄砂対策に適していると考えられます。   



サージカルマスクも、BFE(細菌濾過効率)の基準を満たしており、比較的大きな黄砂粒子に対して一定の効果が期待できます。N95規格のマスクは、0.3マイクロメートルの粒子を95%以上捕集できるため、黄砂に対しても高い防御効果を発揮すると考えられますが、一般的なマスクよりも呼吸がしにくい場合があります。


マスクを選ぶ際には、性能だけでなく顔にしっかりとフィットすることも重要です 。マスクと顔の間に隙間があると、そこから黄砂が侵入してしまうため、鼻の部分にワイヤーが入っているものや、顔の輪郭にフィットするような立体構造になっているものを選ぶと良いでしょう。また、気になる方はマスクの内側にガーゼやコットンなどを挟むことで、フィルター効果を高めるという方法もあります。


フィルター規格

試験粒子径(μm)

規格の意味

黄砂対策への関連性

PFE(微粒子濾過率)

約0.1

微粒子をどれだけ遮断できるかの指標

黄砂の微細な粒子や付着物の対策に重要

BFE(細菌濾過効率)

約3.0

細菌を含む粒子をどれだけ遮断できるかの指標

ある程度の効果が期待できる

VFE(ウイルス飛沫濾過効率)

約3.0

ウイルスを含む飛沫をどれだけ遮断できるかの指標

ある程度の効果が期待できる


  1. 最新の研究と観測:黄砂の現状を把握する

黄砂に関する研究は、その発生メカニズムの解明から健康や環境への影響評価、そして予測精度の向上まで、多岐にわたって進められています。気象庁をはじめとする研究機関では、地上での観測、気象衛星「ひまわり」による広範囲な観測、そして数値モデルを用いたシミュレーションなど、様々な手法を組み合わせて黄砂の監視と予測を行っています。


気象庁のウェブサイトでは、黄砂の解析予測図や観測実況図などが公開されており、一般の人でも黄砂の飛来状況を把握することができます。これらの情報をもとに、外出の予定を変更したり対策を講じたりすることが可能です。九州大学などの研究機関では、SPRINTARS(Spectral Radiation-Transport Model for Aerosol Species)といった数値モデルを用いて、PM2.5や黄砂の予測情報を提供しています。日本エアロゾル学会も、黄砂に関する情報や知見を積極的に発信しており 、最新の研究動向を知る上で参考になります。


近年では、黄砂と健康影響に関する研究が進んでおり、呼吸器疾患や循環器疾患との関連がより詳細に明らかになってきています。また、黄砂がアレルギー症状を引き起こすメカニズムについてもさらなる研究が進められています。これらの研究成果は、黄砂による健康被害を予防するための対策を考える上で非常に重要です。



  1. 黄砂に備えて快適な生活を

黄砂とは、春を中心に日本に飛来する自然現象であり、私たちの健康や生活環境に様々な影響を与える可能性があります。その発生源は中国大陸の乾燥地域であり、偏西風によって日本まで運ばれてきます。黄砂の粒子は非常に細かく、呼吸器系やアレルギー症状を引き起こすだけでなく、循環器系への影響も懸念されています。また、環境への影響も多岐にわたり、視界の悪化や水質への影響などが報告されています。


黄砂から身を守るためには、日頃から気象庁などの黄砂情報を確認し、飛来が予想される際には外出を控えたり、マスクを着用したりするなどの対策が有効です。室内では空気清浄機を活用し、こまめな掃除を心がけましょう。黄砂問題の根本的な解決には、国際的な協力による砂漠化対策や大気汚染の削減が不可欠であり、私たち一人ひとりの環境への意識も重要となります。


黄砂の特性を理解し、適切な対策を講じることで、黄砂の時期でも比較的快適に過ごすことができるでしょう。


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