鳶職は日本の建設業を支える命の守り手。過酷な労働と高所作業をこなしながら、適正な報酬を得られず、人手不足が深刻。現場で命を懸けて働く鳶職の重要性と業界の改革を考えます。
足場を組み、現場を支え、命を守る。
そんな重要な責任を背負っている仕事。しかし、世間の目はどうだ?「底辺の仕事」「学歴がないからやる仕事」「ヤンキーの集まり」なんて馬鹿にされている。柄が悪く、バカが多い事は否定できない。だが、仕事に「底辺」なんてものはない。俺たちがいなければ、ビルも家も安全に建つ事はない。現場で日々命を賭け、危険と隣り合わせにも関わらず、報酬は正当に払われているだろうか?鳶業界で働く全ての人が感じている理不尽は、俺たちだけの問題じゃない。
この記事を通して、俺たち鳶職がどれだけ重要な役割を果たしているのか、そして、この業界がどう変わるべきかを一緒に考えよう。
目次
1.鳶職の現実:誇りと世間の誤解
日が昇る前から準備し、太陽が沈んでも作業は終わらない。現場に出れば片時も気を抜けず、汗まみれ。俺たちが組み上げた足場の上で、他の職人が安全に働けるようにする。それが鳶の使命だ。しかし、外から見れば「学歴がないヤンキー、クズ」「底辺の仕事」なんて言われることもある。確かに、学歴のない若者やヤンキーが多いのは事実だ。しかし、それが俺たちの仕事の価値を決めるわけじゃない。実際に現場で何をしているのか、どれだけの技術と責任が必要なのかを、分かっている人は少ない。
どんな仕事にも価値があり、誇りがある。鳶業界に足りないのは、プロとしての誇りだ。周りがどう思おうが、世間が見下してようが、実際に足場に上がり、組み、解体する事は出来ない。現場を知らない *自称エリート* たちが勝手に、「誰でも出来る仕事」と思い込んでいるに過ぎない。学歴がない人間や不良たちは、勉強よりも体を動かす事が好きなだけだ。その結果、この業界にはいつも決まってならず者たちがやってくる。だがこれは弱みじゃない、この業界の強みでもある。
2.命を守る安全の基盤
住宅のリノベーションでも、高層ビルや新築工事でも、現場には危険がいっぱいだ。足場がしっかりしていなければ、他の職人が安全に働くことはできない。俺たち鳶職が、安全な作業環境を作ることで、現場全体がスムーズに回る。それができるのは、俺たちが毎日磨き続けている技術があるからだ。鳶がいなければ、鳶職の技術がなければ、日本の建物は建てれず、現場の命を守る事はできない。
3.鳶業界の課題:適正な報酬と人手不足
現場で一日中働き、命を懸けて作業する鳶職。しかし現実は、その責任に見合った報酬が支払われることの方が稀だ。特に、高所作業においては、常に危険と隣り合わせで働いている。地上数十メートルの高さでの作業中、一瞬のミスや足を滑らせれば転落して命を失う危険があるにも関わらず、適正な報酬が支払われる事はない。
①命を懸けた作業に対する報酬の不均衡
鳶職の現場は、他の業種に比べて非常に高いリスクを伴っている。毎日足場と向き合い、安全を確保するために尽力しているが、現実にはその労働が十分に評価されていない。むしろ、潤っているのは元請けや上層部。彼らは現場での危険を背負わず、安全な場所で職人たちが得るはずの利益を不当に搾取している。実際に命を懸けて働いているのは、現場の鳶職や他の職人であり、彼らに支払われる報酬は「雀の涙」と言っても過言ではない。
現場でのピンハネ問題:元請けから下請け、さらに2次3次の下請けが入る中で、鳶職が受け取る報酬は不当に削られている。このような「ピンハネ」は、本来違法であるが、業界では当たり前のように行われており、実際に現場で命を懸けている職人にとっては理不尽な現実だ。高所で働き、死と隣り合わせの環境にいる職人が、元請けや上の利益のために不当な低賃金で働かされているのは、業界の最も深刻な課題の一つである。
高リスクに対して不十分な保障:命を懸けているにもかかわらず、報酬や保険の保障は不十分なまま。転落事故や怪我があったとしても、補償金や保険金が十分ではないことが多いのが実情だ。命を懸けている仕事に対して、最低限の安全措置や適正な保障が整備されていないことも、鳶職が敬遠される一因かもしれない。
②人手不足の原因とその悪循環
鳶職は、労働環境の過酷さと人間関係の汚さ、不正な報酬体制が相まって、人手不足が深刻な状況に陥っている。特に、若者がこの仕事に魅力を感じず、業界全体で高齢化が進んでいることも問題となってきた。若者が鳶職を去り、参入することが少なくなる理由として、以下の要因が挙げられる。
報酬が低すぎる:リスクの高い仕事であるにもかかわらず、十分な報酬が得られないため、若者は魅力の一切を感じない。さらに、元請けや上層部のピンハネ構造が現場での労働意欲を顕著に削いでいる。
将来性がない:鳶職人は力仕事の代表格であり、年々衰える身体には限界がある。若いうちしか出来ない仕事としてイメージも、この業界が衰退する要因の一つだろう。
業界の腐敗:ピンハネや不正が横行し、透明性のない業界構造が人手不足を加速させている。令和になってもなお、このような古い体質が続く限り、若者が鳶職に興味を持つことはなく、人手不足の悪循環が続く事は免れない。
4.腐りきった業界に新たな風を吹き込む時が来た
鳶業界には、時代遅れの慣習やルール、不透明な不正取引が根強く残っている。このままでは、業界は腐り続けていくだろう。だからこそ、今こそ改革が必要だ。透明性のある公正な取引を行い、適正な報酬を支払うことで、鳶職が再び「誇り高き仕事」として評価されるようになるべきだ。将来を担う若者が、安心して働ける環境を作ることが、業界全体の未来を救うカギとなる。
a. 単価の底上げで人手不足を解消
鳶職の単価が適正に設定され、報酬が正しく支払われることで、若者が鳶職に興味を持ち、参入しやすくなる。適正な単価を確保することで人手不足を解消し、業界全体を活性化させることができるだろう。
b. 透明性のある取引を実現し、業界の未来を築く
現在の不正や不透明な取引を一掃し、透明性を確保することが、鳶業界の未来を切り開くための第一歩だ。新たな技術や考え方を取り入れた若い世代が、業界に新しい風を吹き込むことで、未来のある業界に再生することが求められている。
エピローグ
鳶職は、日本の仕事の「底辺」ではない。むしろ、すべての現場の「基盤」を支える重要な役割を果たしている。俺たちが誇りを持って働けるよう、業界全体での改革が必要だ。君たち、若い鳶職たちも、未来を切り開くために一緒に立ち上がろう。俺たちの手で、誇り高き鳶の未来を作ろうじゃないか。
現場での責任感と技術力を持ち、プロフェッショナルとしての誇りを取り戻すことが業界の発展に繋がる。そして、若者が安心して働ける環境を作り、鳶業界の未来を築くためには、業界全体での改革が必要不可欠である。鳶業界に新しい風を吹き込み、誇り高き未来を共に作っていこう!
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