鳶に始まり、鳶に終わる。
鳶職は、現場の最初から最後まで関わる唯一の職人であり、足場を組むことでプロジェクトを開始させ、解体作業を行うことで終了させる存在です。すなわち、鳶職がなければ工事が始まらず、無事に終わることもありません。
目次
1. 鳶職とは何か?
鳶職は、建設現場で足場の設置や解体作業を主に担当する職業です。高層ビルや住宅、商業施設の建設において、他の職人たちが安全に作業を行うための足場を組むことが、鳶職の重要な役割です。また、大型プロジェクトだけでなく、住宅のリフォームや改修、新築工事など、建設業界においての基盤であり、欠かせない存在です。
鳶職の主要な仕事
足場組み:高所作業が中心となり、安全な足場を組み上げるのが鳶職の主な仕事です。各作業員が安全に作業を進められるよう、正確かつ迅速に足場を構築する必要があります。
解体作業:建設が終了した後、足場を解体する作業も鳶の仕事です。解体は時間と効率を求められますが、同時に安全を確保しながら進めなければなりません。
2. 鳶の仕事に求められるスキル
鳶職には、他の職業にはない高度な技術や忍耐力が必要です。以下は、鳶職として働く上で求められる主なスキルです。
a. 高所作業の技術と恐怖心の克服
鳶職は、常に高所での作業がつきものです。地上数メートルから数十メートルの高さで、足場を組んだり解体したりする際には、恐怖心を克服する必要があります。高所でのバランス感覚と慎重な動きが求められ、命を守るための安全意識が常に重要です。
b. 正確で冷静な作業
足場を組む際に、わずかなズレが命取りになることがあります。そのため、鳶職には正確さと冷静さが求められます。一見単純な作業を繰り返しながら、確実に安全な足場を作り上げることが、鳶職の技術力を象徴しています。
c. チームワーク
鳶職は、単独ではなくチームで作業を進めることが多いです。連携を取り合いながら、安全かつ効率的に作業を進めるためには、他の職人とのコミュニケーションが欠かせません。もっと言えば、その会社の働き方や技術は、職人のチームワークを見れば分かります。
3. 鳶の仕事のやりがい
鳶職は、リスクの高い仕事ではありますが、その分やりがいも大きい職業です。以下のような点が、鳶職の仕事の魅力と言えます。
a. 自分の手で作り上げる達成感
大規模な建築物の基盤を自分の手で作り上げることで、大きな達成感を得られます。特に、高層ビルやインフラの建設において、自分が携わった仕事が形となり、完成したときの喜びは格別です。
b. チームで作り上げる喜び
鳶職は、他の職人たちと協力して現場を進めていきます。足場が無ければ工事は進まないため、他の職人たちが安心して作業できる環境を作ることで、信頼と感謝を感じることができます。
c. 技術が報われる瞬間
鳶職の技術力が、現場での安全性を保つ重要な要素であることは言うまでもありません。足場がしっかりと組み上がり、無事故で工事が完了した際には、自分の技術が現場の安全に貢献したという誇りを感じることができます。
4. 鳶職の未来と課題
鳶業界は、多くの課題に直面しています。例えば、適正な報酬が支払われていないことや、業界の古い体質による人手不足が問題視されています。特に、経験を積んだ若者が鳶職から去り、参入することが少なくなっていることが深刻な課題です。しかし、新しい技術や働き方、価値観を導入することで、鳶業界は未来に向けて発展していく可能性があります。
まとめ
鳶職は、日本の建設業において欠かせない職業です。高度な技術と忍耐力を必要とし、危険と隣り合わせの仕事である一方、その達成感とやりがいは計り知れません。鳶職がもっと尊重され、適正な報酬が支払われる環境が整えば、この業界はさらに活気を取り戻すでしょう。これから鳶職を目指す若者たちにとっても、未来のある業界を作っていくことが求められています。
Comments