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知られざるテアニンの歴史:お茶の旨味成分から現代の救世主へ

更新日:8月12日

ストレスが日常の一部となっている現代社会では、心身の健康を保つことが重要な課題となっています。そんな中、一部界隈で注目されているのが「テアニン」という成分。日本人と縁深いお茶に含まれるテアニンはリラックス効果や集中力の向上、さらには睡眠の質の改善など、多岐にわたる効果が期待されています。このような効果からテアニンは今、多くの人々に愛される成分となっています。


テアニンが発見されたのは比較的近年、1950年のこと。一体どのような経緯で発見され、どのように研究が進展してきたのでしょうか?本記事では、知られざるテアニンの歴史を紐解きながら、その魅力と可能性に迫ります。


テアニンパウダーと化学式


目次


テアニンとの出会い:お茶の旨味成分から始まった物語

古来より、アジアを中心にお茶は人々の生活に深く根付いてきました。その味わいや香りはもちろん、心身をリラックスさせる効果も愛されてきた理由の一つです。しかし、お茶に含まれる成分が具体的にどのようなものであるかは、長い間謎に包まれていました。


テアニンの歴史;発見

1950年:日本人科学者による発見

テアニンの発見は1950年に京都府立農業試験場茶業研究所(現在の京都府農林水産技術センター茶業研究所)の研究者たちによって成し遂げられました。彼らは、玉露の旨味成分を分析する中で未知のアミノ酸を発見。これが後に「テアニン」と名付けられることになります。


命名の由来と初期の研究

テアニンという名前は、茶の学名「Thea sinensis」に由来しています。発見当初はその生理作用についてはほとんど知られていませんでしたが、その後動物実験やヒト試験を通じてテアニンのリラックス効果や脳機能への影響が徐々に明らかになっていきました。


テアニン豊富なお茶

テアニン研究の進展:発見から2000年代

1964年:食品添加物としての認可

1964年、テアニンは日本で食品添加物として認可されました。これによりテアニンは食品や飲料に広く利用されるようになり、その安全性と効果がさらに注目されるようになりました。


1980年代以降:リラックス効果や脳機能への影響に関する研究

テアニンに関する研究はさらに加速しリラックス効果や脳機能への影響に関する多くの研究成果が発表されました。これらの研究により、テアニンはストレス軽減や睡眠改善、集中力向上など、様々な効果を持つことが明らかになりました。


2000年代以降:ストレス軽減、睡眠改善、認知機能向上など、多岐にわたる研究

テアニン研究はさらに多岐にわたり、ストレス軽減、睡眠改善、認知機能向上、免疫機能調節など、様々な分野で研究が進められています。これらの研究によりテアニンの可能性はますます広がりを見せています。


テアニンと社会認知:拡大と期待

健康食品・飲料としての普及

テアニンの効果効能が広く知られるようになると、テアニンを配合した健康食品や飲料が次々と登場しました。現在では手軽にテアニンを摂取できる商品が数多く販売されており、多くの人々の健康をサポートしています。


ストレス社会における役割

ストレス社会と言われる現代において、テアニンは心身の健康を維持するための重要な役割を担っています。リラックス効果やストレス軽減効果を持つテアニンは、現代人の抱える様々な悩みを解決する可能性を秘めているからです。


テアニンの最新研究と未来

テアニンに関する研究は現在も世界中で活発に行われており、成果のある最新研究では以下のようなモノがあります。


  • 2型糖尿病発症リスクの低減

2019年、九州大学と久山町研究との共同研究でテアニンを含む緑茶の摂取が将来の2型糖尿病発症リスクを低減する可能性が示唆されました。これは、テアニンがインスリン感受性を改善し血糖値の上昇を抑える効果があるためと考えられています。


  • 統合失調症の症状改善

イスラエルの研究グループは統合失調症患者を対象とした試験で、テアニン400mg/日の8週間投与が、プラセボ群と比較して幻覚・妄想などの症状や不安症状を改善する可能性を示唆する結果を報告しています。


他にも、


  • 月経前症候群(PMS)の緩和

テアニンには月経前症候群(PMS)に伴う精神的な症状(イライラ、不安、抑うつなど)を緩和する効果がある可能性が示唆されています。

  • 認知機能改善効果のさらなる検証

テアニンが注意力、記憶力、学習能力などの認知機能を向上させる効果について、さらなる研究が進められています。特に、高齢者の認知機能低下予防への効果が期待されています。



テアニン豊富なお茶とお茶カップ

このように、今後のさらなる研究を通じてテアニンの新たな効果効能や作用メカニズムが解明されることが期待されています。テアニンは単なるお茶の成分にとどまらず、私たちの生活を豊かにする可能性を秘めた成分です。ストレス社会を生き抜くための新たなソリューションとして、テアニンが果たす役割はますます大きくなっていくでしょう。

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大自然 × 現代科学

古代から伝承されし大自然の叡智、

そして現代科学が解明する自然の力。

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