ICC(International Criminal Court:国際刑事裁判所)は、ジェノサイド(大量虐殺)や人道に対する罪、戦争犯罪、侵略犯罪といった国際的に最も重大な犯罪を裁くために設立された常設の国際刑事法廷です。

1. 国際刑事裁判所の成り立ち
ローマ規程:ICCは、1998年に採択された「ローマ規程」に基づき、2002年に発足、オランダのハーグに位置します。
2. 国際刑事裁判所の役割
国際社会が重大な犯罪に対して責任を追及・処罰する場を確保することで、被害者の権利を擁護し、国際法秩序を維持することを目的としています。主として、各国の国内裁判所では十分な捜査や裁判が行われない、あるいは行えないケースを扱います(補完性の原則)。
3. 管轄犯罪
ICCが扱う犯罪は、大きく次の4つに分類されます。
ジェノサイド(大量虐殺)
人道に対する罪
戦争犯罪
侵略犯罪
4. 加盟国と非加盟国
ICCに参加するには、加盟国がローマ規程を批准しなければなりません。ただし、ロシアや中国、アメリカ、インドなど、一部の大国はローマ規程の非加盟国であり、ICCの裁判管轄に必ずしも服するわけではありません。
5. 裁判官と検察官
裁判官:加盟国による投票で選出され、9年の任期を務めます。
主任検察官:ICCの犯罪を捜査し、訴追する役割を担います。
6. 意義と課題
意義:国際社会全体として、重大な人権侵害や戦争犯罪を処罰する場を提供し、法の支配や人道主義の理念を強化する。
課題:非加盟国や大国の協力が得られにくい場合、実効性に制約がある。逮捕状の発布に対する政治的圧力なども問題となっています。
ICCは、国際的な正義の実現と被害者救済を使命とする世界初の常設刑事裁判所です。戦争や紛争下での凶悪犯罪を断罪するための国際的なルールづくりの一環として機能していますが、加盟国と非加盟国の温度差や政治的影響力の問題など、多くの課題も抱えています。
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