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テルペンとは?自然が生み出した魔法のような芳香成分

更新日:8月12日


大麻とレモンに含まれる豊富なテルペン

森や林の中を歩いていると、清々しい香りが鼻腔をくすぐります。それは、木々が放出するテルペンの香り。テルペンとは、植物が作り出す天然の化合物でその種類は数千種類にも及びます。そして、テルペンは単なる芳香成分ではありません。その正体は、私たちの心身にまで様々な影響を与え、健康や美容、さらには環境問題にも貢献する可能性を秘めた、まさに自然が生み出した魔法の物質なのです。


目次



テルペンとは何か?

テルペンは "イソプレン" という炭化水素分子を基本単位として構成される有機化合物の総称です。植物は光合成によって得られたエネルギーを利用してテルペンを合成し、葉や花、果実、樹皮などに蓄積します。テルペンの種類は非常に多岐にわたり、その構造や性質も様々です。代表的なテルペンとしては、以下が挙げられます。


テルペンの歴史


  • モノテルペン:レモンやオレンジなどの柑橘類に含まれるリモネン、ペパーミントに含まれるメントールなど

  • セスキテルペン:ラベンダーに含まれるリナロール、カモミールに含まれるカマズレンなど

  • ジテルペン:マツ科植物に含まれるアビエチン酸、ローズマリーに含まれるカルノシン酸など

  • トリテルペン: オリーブオイルに含まれるスクアレン、高麗人参に含まれるジンセノサイドなど


様々な芳香テルペン

テルペンの驚くべき力

テルペンはその多様な種類と構造によって様々な生理活性を持っています。


  1. リラックス効果とストレス軽減:ラベンダーに含まれるリナロールやカモミールに含まれるα-ビサボロールは、リラックス効果やストレス軽減効果があるとされています。これらのテルペンは脳内の神経伝達物質に作用し、心拍数を落ち着かせたり、不安感を軽減したりする効果が期待できます。

  2. 抗炎症作用と鎮痛作用:ユーカリに含まれる1,8-シネオールやティーツリーに含まれるテルピネン-4-オールは、抗炎症作用や鎮痛作用があるとされています。これらのテルペンは炎症を引き起こす物質の生成を抑えたり、痛みを感じる神経の働きを抑制したりする効果が期待できます。

  3. 抗菌作用と抗ウイルス作用:ティーツリーに含まれるテルピネン-4-オールやオレガノに含まれるカルバクロールは、抗菌作用や抗ウイルス作用があるとされています。これらのテルペンは細菌やウイルスの増殖を抑制したり、感染を防いだりする効果が期待できます。

  4. 抗酸化作用とアンチエイジング:ローズマリーに含まれるカルノシン酸や緑茶に含まれる**エピガロカテキンガレート(EGCG)**は、抗酸化作用があるとされています。これらのテルペンは体内の活性酸素を除去し、細胞の老化を防ぐ効果が期待できます。


大麻由来の天然テルペン
大麻由来の天然テルペン

テルペンの可能性

テルペンの多様な生理活性は医療、美容、食品、環境など、様々な分野での応用が期待され、研究開発が活発に進められています。


医療分野

テルペンはその薬理作用から医薬品開発の新たなフロンティアとして注目されています。例えば、大麻草に含まれるカンナビノイドはてんかんや慢性疼痛の治療薬として既に承認されており、その他にも様々なテルペンが抗がん作用や神経保護作用などを持つ可能性が示唆されています。また、アロマセラピーにおいても、テルペンはそのリラックス効果や抗炎症作用などから、心身の健康維持に役立つとして広く利用されています。ラベンダーのリナロールによる睡眠改善効果や、ペパーミントのメントールによる頭痛緩和効果などが研究で報告されており、テルペンを用いた新たな治療法の開発も期待されています。


美容分野

テルペンはその抗酸化作用や抗炎症作用から、美容分野でも注目されています。シワやシミの予防、肌のハリや弾力の改善、ニキビや炎症の抑制など、テルペンは肌の様々な悩みに対して効果を発揮する可能性があります。既に、多くの化粧品メーカーがテルペンを配合したスキンケア製品やヘアケア製品を開発しており、その効果は消費者からも高い評価を得ています。また、アロマオイルとしても人気が高く、リラックス効果やリフレッシュ効果を求めて多くの人々に愛用されています。


食品分野

テルペンは食品の風味や香りを豊かにするだけでなく、保存性を高める効果もあります。例えば、柑橘類に含まれるリモネンは爽やかな香りを与えるだけでなく、抗酸化作用や防腐作用も持ち合わせています。また、ハーブやスパイスに含まれるテルペンは料理の味を引き立てたり、食欲を増進させたりする効果があります。更に、テルペンの中には消化促進や腸内環境改善などの健康効果を持つものもあり、機能性食品への応用も期待されています。


環境分野

テルペンは森林浴効果をもたらすフィトンチッドの主成分であり、リラックス効果やストレス軽減効果、免疫力向上効果など、様々な健康効果をもたらすことが知られています。また、テルペンは植物由来の天然の農薬や殺虫剤としての利用も研究されています。特定のテルペンは害虫を忌避したり、病原菌の増殖を抑制したりする効果があるため、環境に優しく持続可能な農業への貢献が期待されています。


フィトンチッドとは?

フィトンチッドとは樹木や植物が放出する揮発性の有機化合物で、微生物や昆虫などを忌避し遠ざけたりする作用を持つ物質の総称です。フィトンチッドはロシア語で「植物」を意味する「フィトン(Phyton)」と「殺す」を意味する「チッド(cide)」を組み合わせた言葉で、1930年代にロシアの科学者ボリス・トーキンによって提唱されました。 フィトンチッドの成分はテルペン類が多くを占めており、その他にもフェノール類、アルデヒド類、ケトン類など、様々な化合物が含まれています。


これらの成分が複合的に作用することで、フィトンチッドは抗菌、防虫、消臭効果に加え、人間に対してもリラックス効果やストレス軽減効果、血圧低下作用、免疫力向上効果など、様々な効果を発揮します。 森林浴などで感じる爽やかな香りやリラックス効果はフィトンチッドによるものです。また、フィトンチッドは食品の保存や消臭剤、アロマセラピーなど、様々な分野でも利用されています。


フィトンチッドなどの主要テルペンを含む植物


テルペンと私たちの未来

テルペンは太古の昔から地球上の生態系を支え進化を続けてきた、自然の叡智が詰まった化合物です。その驚くべき多様性と潜在能力は私たち人間の想像をはるかに超え、未だ多くの謎に包まれています。


しかし、現代科学の進歩とともに、テルペンの持つ力が少しずつ解き明かされ、医療、美容、食品、環境など、様々な分野でその可能性が開花し始めています。テルペンは、私たちが抱える様々な課題を解決し、より健康で豊かな未来を創造するための鍵となるかもしれません。


それは、まるで未開の地に足を踏み入れるような、ワクワクする冒険の始まりです。テルペンという神秘的な物質を通して、私たちは自然との繋がりを再認識し地球全体の生命の調和を感じることができるでしょう。そしてその力を借りて、私たちは持続可能な社会を築き、未来へと繋がる新たな道を切り拓いていくことができるはずです。少なくとも、私たちUNREASHはそう信じています。

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大自然 × 現代科学

古代から伝承されし大自然の叡智、

そして現代科学が解明する自然の力。

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