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条件付法律行為とは?「待機」と「終了」のルール

執筆者の写真: RentaRenta

法律行為には、その効力がすぐに発生するものもあれば、「ある条件が成り立つまで待つ」や「ある条件が成就したら消える」という場合があります。これをまとめたのが、民法第五節「条件及び期限」です。


今回は、停止条件付法律行為や解除条件付法律行為、不法条件の具体例などを交えながら、誰にでも分かるように解説します。


条件付法律行為

目次



1. 条件付法律行為とは?

法律行為に条件が付されると、条件が成就(実現)するまでその効果が変動します。


停止条件付法律行為

これは「ある条件が成就した時から、法律行為の効力が発生する」というものです。

例えば、「A社との契約は、B社が融資を確保した場合にのみ効力を生ずる」といった場合、B社が融資を得るまで契約は「待機状態」にあります。条件が達成されると、初めて契約の効力が発生します。

解除条件付法律行為

こちらは「ある条件が成就した時から、法律行為の効力が失われる」というものです。

例えば、賃貸契約において「契約後に建物が倒壊した場合、当該契約は自動的に解除する」といった場合、建物が倒壊することで契約が無効になる仕組みです。


また、当事者が「条件が成就した場合の効果をさかのぼって適用する」旨を示すことも可能ですが、基本は条件が成就した時点から効果が変化します。


2. 条件の成否が未定の場合のルール

条件がまだ成就するかどうか決まっていない期間中、当事者はお互いの利益を不当に害してはいけません。


相手方の利益の侵害禁止

たとえば、停止条件付き契約中に、片方が条件成就前に相手方が期待している利益を無断で処分するなどしてはならないというルールがあります。

権利の処分等

条件が不確定な間でも、所有権の処分や担保の供与などは一般の規定に従い行えます。つまり、条件がついているからといってすべての権利行使がストップするわけではありません。


また、もし一方が故意に条件の成就を妨げた場合、相手方は「条件が成就したものとみなす」ことができる一方、逆に条件が成就することで利益を受ける側が不正に条件を成就させた場合は、その条件が成就しなかったものとみなすことができます。


3. 既成条件・不法条件・不能条件・随意条件

① 既成条件

法律行為が成立する時点で、すでに条件が成就していた場合や成就しなかったことが確定している場合には、その時点に応じた扱いとなります。

既に成就している場合は、停止条件付きなら無条件の法律行為とされ、解除条件付きなら無効とされるなど、条件の性質により結果が反転します。


② 不法条件

「不法な条件」とは、たとえば「不法な行為をしないことを条件とする」という条件が含まれている場合です。

たとえば、売買契約において「買主は違法な商品を製造しないことを条件とする」とする場合、もしその条件が不法であると判断されれば、契約全体が無効となります。

このルールは、違法行為を助長するような条件付法律行為は認めないためのものです。


③ 不能条件

もし、条件そのものが達成不可能な場合は、停止条件付きの法律行為は無効となり、解除条件付きの法律行為は無条件とみなされます。


④ 随意条件

条件が単に一方当事者の自由な意思にのみ依存する場合、特に停止条件付きの法律行為は無効とされる場合があります。これは、一方の恣意的な判断だけで契約の効力が左右されるのを防ぐためです。


4. 期限に関する規定

法律行為には、期限という時間的な枠組みが付されることがあります。


始期(第百三十五条)

例えば、契約に始期が設定されている場合、期限が到来するまで、履行を請求することができません。つまり、契約の履行はその期限が来るまで待たなければならないのです。

終期

終期が付されている場合、期限が到来するとその法律行為の効力が消滅します。これは、契約が一定の期間内にしか有効でないことを意味します。

期限の利益と放棄(第百三十六条)

期限は債務者の利益のために設けられると考えられ、債務者はその利益を放棄することもできますが、相手方の利益を損なうことはできません。

期限の利益の喪失(第百三十七条)

債務者が破産したり、担保を滅失させたりすると、期限の利益(履行を遅らせる権利)を主張できなくなると定められています。


5. まとめ

民法第五節「条件及び期限」は、法律行為の効力がいつ発生し、いつ消滅するか、また条件の成否が未確定な間の相手方の利益保護について定めています。


停止条件付法律行為では、条件が成就した時点から効力が発生し、解除条件付法律行為では、条件が成就すると効力が失われます。

条件が不法(たとえば、不法行為をしないことを条件とする)や達成不能な場合、または一方の随意な意思にだけ依存する場合は、契約が無効となるなど、条件の内容によって結果が大きく変わります。

また、期限に関する規定は、契約の履行を時間的にコントロールし、債務者の利益保護や相手方の権利の明確化を図るための重要な要素です。


このように、条件及び期限の規定は、契約やその他の法律行為に柔軟性と安全性を与えるための仕組みであり、具体例を通じてその意味を理解することで、実生活での契約判断やトラブル回避に役立ちます。


 
 
 

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