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​次世代ブログ

ベーシックインカムとは?本質・社会への影響・実現可能性

  • 執筆者の写真: Renta
    Renta
  • 3月23日
  • 読了時間: 21分

更新日:3月27日

近年、社会経済の変革期において、ベーシックインカムという構想がより一層注目を集めています。新型コロナウイルスの感染拡大や、AI技術の目まぐるしい進展による雇用情勢の変化などは、既存の社会保障制度のあり方を問い直し、新たなセーフティネットの必要性を認識させる契機ともなりました。


本稿では、ベーシックインカムの基本的な概念から、その実現がもたらすであろう社会への多角的な影響、そしてその推進者や批判者の意見を詳細に分析し、その可能性と課題について考察します。


あらゆる格差が最終段階に達し、崩壊した国
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目次


1. ベーシックインカムとは何か?概念・定義・そしてその目的

ベーシックインカム(BI)は、年齢や所得に関わらず、すべての国民または市民に対して、生活に必要な最低限の金額を定期的かつ恒久的に支給する社会保障制度です 。この制度の根幹にあるのは、全ての人々が人間らしい生活を送る権利を有するという理念であり、その実現のための経済的な基盤を提供するという目的があります。ベーシックインカムの理念は、全ての個人が「権利」として、無条件かつ普遍的に、一定の額のお金を定期的に受け取ることができるという点に集約されます 。   


この理念を具体的に示す特徴として、まず挙げられるのが「個人単位」での給付です。世帯主や世帯規模に関わらず、一人ひとりの個人に対してお金が支給されます 。これにより、例えば、世帯内での経済的な不平等や、DV被害者などが経済的に自立する上での障壁を取り除く可能性が指摘されています。次に、「普遍性」です。所得や資産の多寡は問われず、全ての人に等しく支給される点が、従来の所得制限のある社会保障制度とは大きく異なります 。また、「無条件性」も重要な特徴です。働く意思や能力の有無、あるいは特定の条件を満たすことを求められることなく、全ての人に支給されます 。さらに、支給されるのは用途が限定されたクーポンなどではなく、現金であることが原則です 。これにより、受給者は自身の状況やニーズに合わせて自由にお金を使うことができ、より主体的な生活を送ることが期待されます。なお、この支給は一時的なものではなく、「定期的」に行われることも最大の特徴です 。典型的には、毎月継続的に支給されることで、人々の生活基盤を安定させる役割を担います。   


ベーシックインカムには、支給額によって「完全ベーシックインカム」と「部分ベーシックインカム」の区別があります 。完全ベーシックインカムは、社会サービスと組み合わせることで、個人が生活を維持できるかそれ以上の額を指し、部分ベーシックインカムはそれよりも低い額を意味します。どちらの形態を採用するかは、社会全体の制度設計や財源によって大きく左右されます。そして、ベーシックインカムは権力者や政府による恩恵や恣意的なものではなく、「権利性」を持つものとして考えられています 。これは、国民が当然受け取るべきものとして制度化されるべきであり、まさに日本国憲法で本来守られる最低限の生活や人権の基盤という考え方をを示しています。   


ベーシックインカムの導入が目指す主な目的は、国民の最低限の生活を保障し、貧困に陥るリスクを軽減、ひいては撲滅することです 。既存の社会保障制度では、申請主義であったり、複雑な条件を満たす必要があったりするために、必要な人に十分に行き届かないケースも多々存在しています。ベーシックインカムは、このような課題を克服し、より包括的なセーフティネットを構築することを目指しています。また、所得格差等の是正も重要な目的の一つです 。全ての人に一定の所得が保障されることで、富裕層と貧困層の間の経済的な隔たりを縮小する効果が期待されています。さらに、ベーシックインカムは、人々に自由な時間を提供し、創造性を向上させる可能性も秘めています 。生活のために長時間労働をする必要がなくなれば、人々は自己啓発や趣味、芸術活動など、より創造的な活動に時間を費やすことができるかもしれません。社会保障制度の簡素化も、ベーシックインカムの目的の一つとして挙げられます 。現在の複雑な社会保障制度をベーシックインカムに一本化することで、行政コストの削減や手続きの煩雑さの解消が期待されます。加え、ベーシックインカムは人々の多様な働き方を後押しする可能性も指摘されています 。安定した収入基盤があることで、フルタイムの仕事に縛られることなく、パートタイムやフリーランス、あるいは起業といった多様な働き方を選択しやすくなるでしょう。また、予期せぬ経済危機や自然災害などの緊急時において、ベーシックインカムは迅速かつ普遍的な支援策となりうるという利点も挙げられます。   


2. ベーシックインカムのメリット

ベーシックインカムの導入は、貧困削減や格差是正といった経済的な側面だけでなく、個人の自由や創造性の向上、そして社会全体の効率化や福祉の向上にも繋がる可能性が高いです。


貧困削減と格差是正の観点から見ると、ベーシックインカムは最低限の生活を送るために必要な金額を全ての人に一律で支給することで、特にワーキングプアと呼ばれる、働いていても十分な収入を得られない層の生活を改善し、国全体の貧困問題の解決に貢献する可能性があります 。生活保護のような複雑な申請手続きや厳しい審査が不要であるため、制度の利用を躊躇する人々や、申請が困難な状況にある人々にも確実に支援を届けることができると考えられます 。常に経済的な困窮状態にある人々は、日々の生活に追われ、現状を打破するための冷静な判断力や行動力を失いがちです。ベーシックインカムによって経済的な安定が得られれば、人々に心の余裕が生まれ、自己啓発や就職活動など、より良い未来を築くための行動を起こす原動力となることは明白です。


"自由な時間の増加"と"創造性の向上"という点においては、ベーシックインカムは人々が生活のために長時間労働に縛られる状況を緩和し、学びや趣味、あるいは地域活動への参加といった自己投資のための時間を増やす可能性があります 。特に、AI技術の発展により、単純労働や定型業務が自動化される未来においては、ベーシックインカムは人々がAIには代替できない創造的な仕事や、より人間的な触れ合いを必要とする分野に注力するための基盤となるのも一目瞭然でしょう 。経済的な不安から解放された人々は、リスクを恐れずに新しい事業に挑戦したり、芸術や研究といった、直ちに経済的な利益に繋がらない分野でも才能を開花させる可能性さえ秘めています。


社会保障制度の簡素化という側面も見逃せません。現在の社会保障制度は、所得や家族構成などに応じて様々な給付金や補助金が存在し、それぞれの制度ごとに申請や審査が必要となるため、行政側のコストも膨大です。ベーシックインカムは、このような複雑な制度を一本化し、無条件で全ての人に給付を行うため、行政手続きの簡素化や事務コストの大幅な削減にも貢献します。また、生活保護制度における不正受給の問題なども、ベーシックインカムの導入によって顕著に抑制されます。最低限の生活が保障されることで、不正に給付金を得ようとする動機も減少するでしょう。


その他にも、ベーシックインカムは少子化問題の解消に貢献する可能性も指摘されています 。経済的な不安が子育てを躊躇させる要因の最大の課題となっている現代において、安定した収入基盤は、安心して子供を産み育てられる環境整備に繋がるかもしれません。また、労働環境の改善も期待されます 。ベーシックインカムによって生活の基盤が保障されれば、人々は低賃金や劣悪な労働環境を強いられる仕事に無理に従事する必要がなくなり、より働きやすい環境を選ぶことができるようになります。その結果、企業は労働者の確保のために労働条件の改善を迫られたり、悪徳企業やブラック企業は自ずと自然淘汰される好循環が生まれる可能性もあります。さらに、ベーシックインカムは、人々の精神的な健康を向上させる可能性も強く示唆されています。実際に国を動かしている政治家や業界人たちは理解出来ないのでしょうが、経済的な不安は、人々のストレスや精神的な負担の大きな原因となっています。ベーシックインカムによって安定した収入が得られることで、これらの負担が軽減され、精神的な健康状態の改善に繋がることは当然です。


3. ベーシックインカムのデメリット

ベーシックインカムには多くの潜在的なメリットが期待される一方で、その実現には様々な課題や懸念点が存在します。


最も大きな懸念の一つが、労働意欲の低下です 。無条件で一定の収入が得られることで、「働く必要がない」と感じる人が増え、社会全体の労働意欲や生産性が低下するのではないかという指摘があります。特に、過酷な労働条件の仕事や、賃金の低い仕事に従事する人が減少し、社会の機能維持に支障をきたす可能性も懸念されています 。フィンランドで行われたベーシックインカムの実験では、受給者のストレス軽減や幸福度の向上は見られたものの、労働意欲や雇用の促進といった点においては明確な効果は確認されていません 。この結果は、ベーシックインカムが必ずしも人々の就労を促すわけではない可能性を示唆しています。   


財源の問題も、ベーシックインカム実現における大きな課題です 。全ての国民に定期的に現金を支給するためには、莫大な財源が必要となります。例えば、国民一人あたり月7万円を支給する場合、年間で約8兆6275億円(2025年3月1日時点:約1億2325万人)の財源が必要となます。これは令和7年度の日本の国家予算(約114兆円)のおそよ7%に匹敵する規模です。7%と考えると、それほど大きな額ではないように思えますが、バカな政治家や汚職まみれの現在の政府は、国民のことなど後回しなのが現実です。従い、財源をどのように確保するのかは依然として議論の的となっています。


ベーシックインカムの導入は、インフレを引き起こす可能性も指摘されています 。全ての人に一定の所得が保障されることで、社会全体の購買力が増加し、需要が供給を上回る状態になれば、物価が上昇する可能性があります。特に、ベーシックインカムの給付額が高く設定された場合、そのリスクは増大すると考えられます。   


制度設計の複雑さも、ベーシックインカム導入の大きなハードルとなります 。現在、日本には年金、生活保護、児童手当など、様々な社会保障制度が存在しており、ベーシックインカムを導入する際には、これらの既存制度との関係性をどのように整理するかが重要な課題となります。二重給付による不公平が生じたり、既存の制度で十分な保障を受けている層からの反発も予想されます。また、ベーシックインカムとして支給する適切な金額をどのように設定するのかも難しい問題です 。低すぎれば貧困問題を十分に解決できず、高すぎれば財政を圧迫し、労働意欲の低下を招く可能性があります。   


その他にも、ベーシックインカムの導入によって人々の自己責任の範囲が広がり、これまで社会保障によって守られてきた人々が、かえって厳しい状況に置かれる可能性も指摘されています 。例えば、重度の障害を持つ人や、特別な支援を必要とする人々にとって、一律の現金給付だけでは十分な保障とならない場合があります。また、ベーシックインカムがギャンブルや依存症といった問題に使われてしまう可能性や、社会保障制度の縮小によって現在恩恵を受けている高齢者や障害者、慢性病患者などが切り捨てられるのではないかという懸念も存在します 。さらに、ベーシックインカムが無条件で支給されることに対して、「お金持ちにも同じ金額が支払われるのは良いのか」という疑問や、「ただで何かを与えることになるのは浪費を助長する」といった批判もあります 。また、ベーシックインカム制度が手厚い福祉政策として認識され、大量の移民を呼び込み、結果的に財政負担が増加するのではないかという懸念も一部で指摘されています 。   


4. ベーシックインカムが実現した場合の社会への影響

もしベーシックインカムが実現した場合、社会の様々な側面に大きな影響を与えます。経済への影響としては、まず低所得層の消費が活発化し、社会全体の需要を押し上げる効果が期待されます 。安定した収入基盤ができることで、これまで生活必需品の購入に制約を受けていた人々が、より多くの商品やサービスを購入できるようになり、経済全体の活性化に繋がる可能性があります。また、景気後退時にはベーシックインカムが自動的に人々の消費を支える役割を果たし、景気の落ち込みを緩和する効果も期待されています 。さらに、ベーシックインカムは、人々の起業や創作意欲を高め、新しいビジネスやイノベーションの創出を促進する可能性も指摘されています 。経済的なリスクを恐れずに自分のアイデアを形にしようとする人が増えることで、社会全体の活力・福祉の向上に繋がると、私は確信しています。地域間の経済格差の是正にも貢献する可能性があり、生活費の低い地方でも安心して生活できる環境が整えば、都市部への一極集中を緩和する効果も期待できます 。   


労働市場への影響としては、ベーシックインカムによって生活のための労働に縛られる必要がなくなるため、労働時間の短縮や、より良い労働条件を求める動きが活発になる可能性があります 。これにより、長時間労働の是正や労働環境の改善が進むことが期待され、逆に短期集中型で生産性が上がる見方もできます。また、近い将来にAIが雇用を奪うことは明らかに予想される中で、ベーシックインカムは人々の生活を保障するために不可欠なセーフティネットとして、その重要性は増していくと考えられます 。また、エッセンシャルワーカーと呼ばれる、社会生活に不可欠な仕事に従事する人々の交渉力が高まる可能性も指摘されています 。   


文化への影響としては、ベーシックインカムによって経済的な不安から解放された人々が芸術、学術、ボランティア活動など、直接的な経済的利益を生み出さない活動にも積極的に参加するようになる可能性があります 。これにより、社会全体の文化的な豊かさや多様性が増すことも期待されます。   


個人の幸福度への影響は、多くの研究や実験で示唆されています 。経済的な安定は、人々のストレスを軽減し、精神的な健康状態を改善する効果が期待できます。また、自分の将来や人生に対する主体性や自信が高まる傾向も報告されています 。ベーシックインカムとは、単に経済的な支援を提供するだけでなく、人々の心の豊かさや社会的な繋がりを育む可能性を秘めた、まさに国が目指すべき最終形態の始まりと言えるでしょう。   


5. 著名人のベーシックインカムに関する意見

ベーシックインカムは、その革新的な性質から、様々な分野の著名人によって議論されています。

例えば、マーク・ザッカーバーグ氏は、AI技術が多くの仕事を代替する未来を見据え、ベーシックインカムの導入を提唱している一人です 。彼は、ベーシックインカムが導入されれば人々は生活のために働く必要がなくなり、新しいことに挑戦する意欲が高まると述べています 。アラスカ州に存在する、天然資源を財源とするベーシックインカム制度「Permanent Fund Dividend」を例に挙げ、その考え方が他の国にとっても教訓になる可能性があると語っています 。ザッカーバーグ氏は、経済的に余裕がある時の方が将来に対して楽観的になり、投資や成長の機会を探すことができるというアラスカの経験から、ベーシックインカムが人々の未来志向の姿勢を育む可能性を示唆しています 。   


ひろゆき氏は、ベーシックインカムに賛成の立場を明確にしています 。彼は、社会はどうしても「食える人」と「食えない人」に分かれてしまうと考え、最初から全ての人にお金を配り、さらに稼ぎたい人は自由に稼げば良いという考えを持っています 。毎月7万円を国民に配るには約90兆円の財源が必要だと試算し、生活保護の廃止や富裕層からの増税などを組み合わせることで実現可能だと主張しています 。ひろゆき氏は、ベーシックインカムには犯罪抑止や再犯防止の効果もあるとし、現代の日本社会に必要な制度だと考えています 。しかし、高齢者の反対が大きいため、現状では実現が難しいとも指摘しています 。そのため、現状では生活保護を若者のためのベーシックインカムと捉え、積極的に活用すべきだと提唱しています 。また、前澤友作氏が行った10億円の現金配布実験については、一回限りの給付であり、継続的なベーシックインカムとは性質が異なると指摘しています 。   


一方、成田祐介氏は、ベーシックインカムの導入に反対の立場を取っています 。彼は、「僕たちは心が弱い」という理由で反対しており、単にお金を配るのではなく、人々の心や考え方そのものを変革する必要があると主張しています 。成田氏は、ベーシックインカムは所得の低い層に対する税率をマイナスにする、つまり負の所得税のようなものと捉えており、累進課税の構造を緩和することにも繋がるとの見解を示しています 。生活困窮者の支援現場からの視点として、薬物依存やギャンブル依存症といった問題を抱える人々にとって、現金給付が必ずしも有効な解決策とは限らないという懸念も表明しています 。   


前澤友作氏は、「前澤式ベーシックインカム社会実験」として、実際に1000人に100万円を配布する実験を行いました 。彼は、ベーシックインカムによって人々がより幸せになれるのではないかと考えており、労働意欲の向上や、働く人の笑顔が増えることを期待しています 。この実験を通じて、人々の労働生産性やチャレンジ精神が向上するかどうかを検証したいと考えています 。しかし、ひろゆき氏からは、この一回限りの高額給付はベーシックインカムとは言えず、単なる臨時収入に過ぎないと批判されています 。   


6. 富裕層の言動と現実:ベーシックインカム支持者の行動分析

しかし一方で、マーク・ザッカーバーグ氏、ひろゆき氏、前澤友作氏といったベーシックインカムを推奨する富裕層が、自身のファンやコミュニティに対して、恒常的な経済的支援策を実施している例は見当たりません。前澤友作氏が行った大規模な現金配布は注目を集めましたが、これはあくまで社会実験という一時的なもの、言ってしまえば個人的な承認欲求や探究心とも捉えられ、継続的なベーシックインカムとは異なります 。   


富裕層が自身のコミュニティ内でベーシックインカムを実施しない理由としては、いくつかの可能性が考えられます。まず、スケールの問題です。彼らのファンやコミュニティの規模は非常に大きく、仮に少額であっても、全ての人に恒久的なベーシックインカムを提供するには、天文学的な資金が必要となり、現実的な持続可能性には大きな課題があります。次に、制度設計の複雑さも挙げられます。ベーシックインカムは、税制や他の社会保障制度との連携など、複雑な制度設計を必要とします。個人レベルで、このような複雑な制度を適切に運用することは困難であると考えられます。また、彼らが提唱するベーシックインカムは、社会全体のシステム改革を意図している可能性があり、個人的な慈善活動とは目的や性質が異なるという側面もあります。彼らの主な関心は、政府や自治体レベルでの政策実現に向けた議論を喚起することにあるのかもしれません。さらに、個人的なベーシックインカムの試みは、社会全体への影響が限定的であり、政策レベルでの導入を促すには不十分です。個人の取り組みだけでは、社会全体の構造的な問題を解決することは難しいでしょう。加えて、個人的なベーシックインカムの試みは、公平性の観点から批判や誤解を招くリスクも存在します。誰を対象とするのか、どのような基準で選ぶのかなど、恣意性が介入する余地があり、批判の対象となる可能性があります。


しかしながら、富裕層が自身のコミュニティ内で何らかの経済的支援策を実施することは、ベーシックインカムの理念を広め、その可能性や課題を探る上で、一定の意義を持つ可能性も否定できません。たとえ本格的なベーシックインカムではなくとも、限定的な範囲での現金給付や、特定の目的を持った支援策は、受給者の行動や意識の変化を観察する上で貴重なデータとなり、社会全体での議論を深めるきっかけとなるかもしれません。


7. 仕事なしで人間は怠けるのか?自己実現と社会貢献の可能性

ベーシックインカムに対する根強い懸念の一つに、「仕事をしなくても良い状況になれば、多くの人が怠けてしまうのではないか」というものがあります。脳科学の観点からは、人間はエネルギー消費を抑えるように本能的にできているため、怠ける傾向があるという見方もあります 。しかし、「怠け」の背後には、目標の喪失、自信の喪失、体調不良、あるいは精神疾患といった様々な要因が複雑に絡み合っている事が多いです。   


ベーシックインカムによって経済的な不安が解消されれば、人々は日々の生活に追われることなく、本当にやりたいこと、興味のあることに時間やエネルギーを費やすことができるようになります 。生活のために長時間労働をする必要がなくなれば、自己実現に向けた前向きな思考を持ちやすくなり、人生をより豊かにすることに繋がる可能性の方が高いのではないでしょう?フィンランドの実験では、労働意欲の明確な向上は見られなかったものの、受給者の幸福度は向上しており 、必ずしも人々が完全に活動を停止するわけではない可能性を示唆しています。   


現代社会においては、「スキルのいらない反復的な仕事は間もなく人工知能(AI)に取って代わられる」という認識がいよいよ現実味を帯び始めています。このような未来においては、ベーシックインカムは人々が本当に好きなこと、人間ならではの創造性やコミュニケーション能力を活かせる分野に注力するための基盤となるのはまず間違いありません。経済的な安定を得た人々は、社会貢献活動やボランティアなど、金銭的な報酬を求めない活動にも積極的に参加し、結果として、社会全体、国レベルの福祉向上に繋がることも期待されます。   


8. ベーシックインカムと公共の福祉・幸福度の向上

ベーシックインカムとは、公共の福祉や幸福度の向上に大きく貢献する次世代の社会制度です。実際に、ベーシックインカムを受給した人々は、生活満足度が高く、精神的なストレスを感じにくいという実験結果が報告されています 。また、経済的な安定は、人々の精神的な幸福度を高める傾向があることも示されています 。さらに、ベーシックインカムは、他者や社会制度への信頼感を高め、自分の将来や人生に対する主体性や自信を持つことにも繋がります 。   


しかし、ベーシックインカムが真に公共の福祉や幸福度の向上に貢献するためには、いくつかの重要な課題を克服し、条件を整備する必要があります。まず、適切な給付水準の設定が不可欠です。最低限の生活を保障しつつ、過度に労働意欲を阻害しないような、バランスの取れた給付額を見極める必要があります。そのためには、詳細な経済分析や社会的な議論が求められます。次に、持続可能な財源の確保です。長期的にベーシックインカム制度を支えるための、安定した財源を確立する必要があります。既存の社会保障制度の見直し、既得権益者の解体、働かない政治家の一掃、新たな財源の創出など、様々な選択肢をテンポよく検討し実施、国民的な合意を得つつも強いリーダーシップが必要になります。また、既存の社会保障制度との整合性も重要な課題です。年金、医療保険、失業保険など、現在の社会保障制度との役割分担や連携を明確にし、制度全体の効率性と公平性を高める必要があります。そして、制度の理念や効果、財源などについて、透明性の高い情報公開と、活発な国民的議論を通じて、制度に対する理解を深め、支持を広げていく事が求められます。さらに、ベーシックインカムはAI技術の進展など、社会経済の変化に合わせて、その役割や効果を継続的に検証し、必要に応じて柔軟に制度を修正していかなければなりません。


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9. 結論:ベーシックインカムとは

ベーシックインカムとは、貧困削減、格差是正、個人の自由と創造性の向上、そして社会保障制度の簡素化など、多くの潜在的なメリットを持っています。一方で、労働意欲の低下、財源の確保、インフレのリスク、制度設計の複雑さといった課題も抱えています。著名人の間でも意見は分かれており、その実現に向けた道筋は決して平坦ではありません。

富裕層のベーシックインカム支持者の行動に対するユーザーの疑問は、制度の実現可能性や彼らの真意を問いかけるものであり、非常に重要な視点です。大規模な社会実験はベーシックインカムの効果を検証する上で貴重な機会となりますが、その継続性や普遍性という点においては、まだ議論の余地があります。


仕事をしなくても人間は怠けるのかという問いに対する明確な答えはまだ得られていません。しかし、経済的な安定が人々の精神的な健康を向上させ、自己実現や社会貢献といった新たな動機を生み出す可能性も示唆されています。

ベーシックインカムが公共の福祉や幸福度の向上に貢献するためには、適切な制度設計と、社会全体の理解と合意が不可欠です。今後、AIや技術革新、社会情勢の変化を踏まえながら、ベーシックインカムに関する議論をさらに深め、手遅れになる前に、より良い社会の実現に向けた道を探っていく必要があるでしょう。

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