「せっかくここまで頑張ってきたんだから、諦めるのはもったいない」
「高いお金を払ったんだから、最後までしないと損だ」
こんな風に考えたことはありませんか?それはもしかしたら「サンクコストバイアス」という心理的な罠にはまっているのかもしれません。
目次
サンクコストバイアスとは?
サンクコストバイアスとは、過去に投資した時間、お金、労力などを惜しむあまり、合理的でない判断をしてしまうことを指します。
英語表記は " Sunk cost fallacy. " 直訳すると、
sunk cost:埋没費用(既に支払ってしまい、回収できない費用)
Fallacy: 誤謬(誤った考え、論理的な誤り)
となります。つまり、「サンクコストバイアス」は、「埋没費用に囚われる誤り」 という意味になります。例えば、
映画館で映画を見ている途中、つまらないと感じても最後まで見てしまう。
高価なレストランでの食事、味が口に合わなくても残さず食べてしまう。
長年付き合っている恋人と関係がうまくいっていないと感じても、別れる決断ができない。
これらは全て、サンクコストバイアスの典型的な例です。私たちは、**「せっかくお金を払ったのだから」「こんなに時間をかけてきたのだから」**という気持ちから、過去の投資を無駄にしたくないという心理が働き、不満足な状況を継続してしまうのです。
サンクコストバイアスのメカニズム
サンクコストバイアスは人間の心理的な特性によって引き起こされます。
損失回避:人間は 得をすることよりも損をすることを強く嫌う傾向があります。このため、過去の投資や時間を無駄にしたくないという気持ちが、合理的な判断を妨げてしまいます。
一貫性の維持:私たちは自分の行動や選択に一貫性を持たせたいという欲求を持っています。過去の選択を覆すことは自分の一貫性を否定することになり、心理的な抵抗を感じます。
正当化:過去の投資を正当化しようとする心理も働き、「せっかくここまでやってきたのだから、意味のあるものにしたい」という気持ちが、現状を客観的に評価することを難しくします。
サンクコストバイアスがもたらす悪影響
サンクコストバイアスは私たちの生活の様々な場面で、悪影響を及ぼしている可能性があります。
時間とエネルギーの浪費:不満足な状況を継続することで貴重な時間やエネルギーを無駄にしてしまいます。
機会損失:サンクコストに囚われるあまり、新たな挑戦やより良い選択肢を見逃してしまう可能性があります。
ストレス増加:不満足な状況を我慢し続けることはストレスを増大させ、心身の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
サンクコストバイアスを克服するには?
サンクコストバイアスを克服しより良い決断をするためには、以下のポイントを意識しましょう。
過去の投資は「埋没費用」:過去の投資は既に回収できない費用です。それに囚われず、**「今、この瞬間から何が最善か」**を判断することが重要です。
「機会費用」を考える:何かを続けることで他の選択肢を選ぶ機会を失っていることを意識しましょう。
感情ではなく論理で判断する:感情に流されず客観的なデータや情報を基に、論理的に判断しましょう。
「ノー」と言う勇気を持つ:状況によっては、損切りをして撤退することも長期的な成功には必要です。
第三者の意見を聞く:自分一人で判断できない場合は信頼できる人に相談し、客観的な意見を聞きましょう。
まとめ
サンクコストバイアスは誰にでも起こりうる心理的な罠です。しかし、そのメカニズムを理解し意識的に対策を講じることで、より良い決断をすることができます。
過去の投資などに囚われず未来に目を向け、本当に大切なことに集中することで、あなたの時間とエネルギーは最大限に活かされるでしょう。
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