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オアスペとは?全体像を分かりやすく解説『2025年版』

  • 執筆者の写真: UR
    UR
  • 2月24日
  • 読了時間: 9分

更新日:4月1日

あなたは「オアスペ(Oahspe)」という書物をご存知でしょうか?19世紀末のアメリカで、「天の天使たちからの新たな啓示」として世に出た、分厚く、そして非常にユニークな内容を持つ文書です。『オアスペ:新しい聖書』とも題されたこの書物は、従来の聖書とは全く異なる宇宙観や人類史、そして神についての教えを説いています。


一体、オアスペとは何なのか?誰がどのようにしてこの書物を受け取ったのか?そこには何が書かれているのか?そして、現代においてどのような意味を持つのでしょうか?この記事では、謎に満ちた書物「オアスペ」について、その起源から教えの内容、そして現代における評価まで、全体像を分かりやすく、2025年現在の視点も交えながら徹底解説します。少し不思議で壮大な世界を、一緒に覗いてみましょう。


不思議な雰囲気の霊的文書

目次


  1. オアスペの起源と背景

19世紀アメリカが生んだ「新しい聖書」

「オアスペ」が誕生したのは、1882年のアメリカ。その作者(チャネラー、あるいは筆記者)とされるのは、ジョン・バロウ・ニューブロー(John Ballou Newbrough, 1828-1891)という人物です。彼はオハイオ州出身の歯科医師でありながら、発明家として特許を取得したり、幼い頃から霊的な能力(透視や透聴)を持っていたとも言われています。

ジョン・ニューブロー

彼が生きた19世紀後半のアメリカは、科学技術が急速に進歩する一方で、**スピリチュアリズム(心霊主義)**という大きなムーヴメントが起こっていた時代でした。これは、死者の霊と交信できると信じ、霊的な世界を探求する思想や実践のこと。ニューブロー自身もこのスピリチュアリズムに深く傾倒し、ニューヨークの関連団体の役員も務めていました。


このような時代背景とニューブロー自身の特異なバックグラウンド(科学的素養と霊的能力)の中で、「オアスペ」は生み出されたのです。彼はまた、この書物が自身の創作ではなく、天使たちから「自動書記」という方法で与えられた啓示であると主張しました。1882年に出版された初版は900ページを超える大著であり、「新しい聖書」という副題と共に、当時の人々に驚きをもって迎えられました。


※自動書記とは、本人の意志とは無関係に、無意識下の情報が筆やタイプライターを通じて表出する現象です。詳しくはコチラ


創造主ジェホヴィ

  1. オアスペの教義と宇宙観

では、「オアスペ」には一体どのような内容が書かれているのでしょうか?その教義と世界観は、既存の宗教とは大きく異なり、非常に独創的で壮大なスケールを持っています。


  • 創造主「ジェホヴィ(Jehovih)」

    オアスペにおける最高存在は「ジェホヴィ」と呼ばれます。この創造主は特定の性別を持たず、男性性と女性性の両方を内包する「全人格(The All Person)」として描かれます。キリスト教などで語られる「神(God)」や「主(Lord)」といった称号は、ジェホヴィではなく、かつて人間として生きた霊的存在(天使)が天界で就く役職名だとされています。そして、人間は預言者や救世主などを介さず、直接ジェホヴィと交信できると説かれています。

  • 宇宙の構造

    オアスペが描く宇宙は、私たちが認識している物質的な世界(コーパー)だけではありません。目には見えない霊的な世界(エス)が存在し、それはさらに地球に近い「アトモスフェリア界」と、より高次の「エーテリア界」に分かれているとされます。魂は死後、これらの霊的世界を旅していくと考えられています。

  • 人類の歴史と進化

    オアスペによれば、人類の歴史は通説よりもはるかに古く、約7万8千年前に太平洋にあったとされる失われた大陸「パン(PanまたはWhaga)」で始まったとされます。ノアの洪水伝説の起源はこのパン大陸の沈没にある、とも。人類は天使たちの導きを受けながら、約3000年周期で訪れる浮き沈みを繰り返し、霊的に進化してきたと説かれています。そして現代は「コスモン時代」と呼ばれる、平和と友愛の新しい時代への移行期にあるとされています。

  • 魂の旅路

    オアスペでは、死後の魂は生前の行いや霊的な成長度に応じて、霊界の様々な階層を進んでいくと考えられています。善行を積み、他者への奉仕に生きた魂はより高い天界へと昇り、利己的であったり邪な思いを持ったりした魂は、地球に近い領域や「地獄」と呼ばれる苦しい状態に留まる、とされます。一般的な輪廻転生とは異なり、魂は常に進化し続け、より高次の存在へと上昇していくプロセスが描かれています。

  • 倫理的な教え

    オアスペは、信奉者(フェイスリストと呼ばれる)に対して、具体的な生き方の指針も示しています。その中心となるのは**「自由」と「自己責任」そして、菜食主義(ヴィーガニズム)の実践、あらゆる暴力や戦争を否定する平和主義、そして何よりも他者への無私の奉仕**が、霊的成長のために不可欠であると強調されています。特定の宗派や教義に縛られず、直接ジェホヴィと繋がり、自らの良心に従って生きることが奨励されているのです。


このように、オアスペは独自の神概念、宇宙観、人類史、そして倫理観を提示する、極めてユニークな体系を持つ書物です。


  1. 啓示の伝達方法としての自動書記

神の声はペンを通じて?

オアスペがこれほど特異な内容を持つ理由の一つは、その成立過程にあります。先述したように、著者とされるニューブローは、これを「自動書記」によって受け取ったと主張しました。自動書記とは、19世紀のスピリチュアリズム運動の中で広く行われた実践の一つで、書き手が自分の意識的なコントロールなしに、ペンやタイプライターなどが勝手に動いてメッセージを書き記す、とされる現象です。当時のスピリチュアリストたちは、これを霊的存在が直接メッセージを伝えるための手段だと信じていました。


ニューブローの説明によれば、彼は1880年から約1年間、毎朝日の出前の30分間、当時発明されたばかりのタイプライターの前に座ると、自分の意思とは関係なく両手が動き出し、オアスペの本文を打ち出したと言います。また、時には強い衝動に駆られてペンを取ると、指が明るい光に包まれ、やはり自動的に文字や、本文中に含まれる100以上の図(一部は古代エジプトのヒエログリフに似ているとも言われる)を描き出した、とも語っています。彼はこのプロセスを通じて、天の天使たちが創造主ジェホヴィの名において、オアスペの内容を伝えてきたのだと確信していました。


しかし、現代の科学や心理学の視点から見ると、自動書記には別の説明も可能です。「イデオモーター効果」と呼ばれる、無意識の思考や筋肉の動きが物理的な動作を引き起こす心理現象によって説明できる、という考え方もその一つです。この立場からは、自動書記の内容は外部の霊的存在からではなく、書き手自身の潜在意識、つまり、本人が忘れていた記憶や願望、信じていることなどが現れたものである、と解釈されます。

実際に、自動書記によって書かれたとされる他の文書(例えば『奇跡のコース』や『ウランティア書』など)も存在しますが、その内容の客観的な検証や超自然的な起源を証明する科学的根拠は乏しいのが現状です。オアスペも同様に、その成立過程の神秘性は魅力である一方、内容の信頼性については、科学的・懐疑的な立場からは疑問視されています。


  1. オアスペの現代的意義と評価

信奉者と批判的な視点

1882年の出版から140年以上が経過した現在、オアスペとその教えはどのように受け止められているのでしょうか?


オアスペの教えを信奉する人々は**「フェイスリスト(Faithist)」**と呼ばれ、世界中に小規模ながらコミュニティが存在します。彼らは、オアスペの教えに基づき、菜食主義、平和主義、他者への奉仕といった生活を実践し、中には共同生活を送るグループもあります。インターネットの普及により、オンラインでの交流や学習も行われています。日本では、竹内文書など日本の古代伝承と関連付けて解釈されることもあるようです。


しかし、フェイスリストの数は世界的に見ても決して多くはなく、オアスペが社会的に大きな影響力を持つには至っていません。その理由としては、やはり内容の特異性や、歴史的・科学的な裏付けの欠如に対する批判や懐疑的な見方が根強いことが挙げられます。主流の宗教、特にキリスト教の観点からは、神の概念や救済論などが大きく異なるため、異端と見なされることもあります。歴史学や考古学の観点からは、オアスペが語る超古代史や失われた大陸の話は、証明不可能、あるいは既存の学説と矛盾すると指摘されています。


また、懐疑論者からは自動書記という成立過程自体が疑問視され、内容も他の神話や宗教からの借用や、ニューブロー自身の創作ではないか、と批判されています。一方で、オアスペが提示する普遍的な愛、平和主義、菜食主義、環境との調和といった倫理観は、現代社会が抱える課題と共鳴する部分もあり、時代を超えて価値を持つメッセージと捉えることもできます。19世紀のアメリカが生み出したユニークな精神文化の産物として、宗教学や思想史の研究対象としても興味深い存在なのは確かです。


物質界(コーポリアル界)、霊界(アトモスフェリア界)、高次の領域(エーテリア界)」を一つにまとめたイメージ

6. オアスペとは|位置づけと今後

改めて、「オアスペとは何か?」をまとめると、それは19世紀アメリカの歯科医師ジョン・バロウ・ニューブローが、自動書記によって受け取ったとされる、壮大かつ特異な啓示(霊的)文書です。独自の創造主「ジェホヴィ」を掲げ、物質界と霊界からなる宇宙観、数万年に及ぶ人類の霊的進化の歴史、そして菜食主義や平和主義といった具体的な倫理観を説いています。宗教や哲学の世界におけるオアスペの位置づけは、19世紀のスピリチュアリズム運動の流れを汲む**「新宗教」あるいは「エソテリック(秘教的)文書」**の一つと見なすことができます。主流の宗教とは一線を画し、独自の道を歩んできました。


支持者にとっては、現代の物質主義や精神的な混乱に対するオルタナティブな指針であり、宇宙の真理や自己の霊的成長を探求するためのテキストとして価値を持ち続けています。しかし、その内容の真偽や起源を巡る論争は今後も続くでしょう。

現代社会において、オアスペが再び注目を集める可能性はあるのでしょうか?環境問題、倫理観の揺らぎ、精神的な探求への関心の高まりといった現代的な課題に対して、オアスペが提示するメッセージ(例えば、自然との共生、他者への奉仕、内面的な平和の追求など)が、新たな意味を持って響く可能性はあるかもしれません。


オアスペは、信じるか信じないかを超えて、人間がどのように世界の成り立ちや自らの存在意義を問い続けてきたか、その多様な探求の歴史を示す一つのユニークな記録と言えるのかもしれません。その壮大な物語とメッセージが今後どのように読み解かれ、受け継がれていくのか、注目されるところです。

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