【地獄】刑務所ビジネスがヤバい!エルサルバドル『超巨大刑務所』の闇
- UR
- 5 日前
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ビットコインを法定通貨にしたことでも有名なエルサルバドル(現在は撤回)。その国が今、とんでもないビジネスを拡大させていることをご存知か?

かつてエルサルバドルは、世界で最も治安が悪いと言われる国の一つだった。だが、ナイブ・ブケレ大統領の指揮の元、「ギャングを一掃し世界で最も安全な国の一つになった」と、自国の劇的な治安回復をSNS等も駆使して華々しく世界にアピールしている。

その象徴として登場したのが、4万人収容とも言われる**『超巨大刑務所』CECOT(テロリズム拘禁センター)**だ。上半身裸で頭を丸められ、鎖に繋がれた囚人たちが、まるで家畜のように詰め込まれる衝撃的な映像を見たことがある人もいるでしょう。


しかし、その「治安回復」という美名の裏側で、一体何が行われているのか?我々はその恐るべき実態を知っておいた方がいい。ブケレ政権が発令し、3年以上も続く「非常事態宣言」の下、エルサルバドルでは憲法で保障されたはずの権利が踏みにじられ、8万人以上もの人々が令状もなしに次々と逮捕されています。そして、その多くが送り込まれる先が、CECOTをはじめとする**「地上の地獄」**とも形容される刑務所だ。

この記事では、ブケレ政権の強権政治が生み出した**『エルサルバドルの刑務所』の信じがたい実態、そこで横行する深刻な人権侵害、そしてこの非人道的なシステムにアメリカが加担しているとされる「刑務所ビジネス」の闇に、鋭く切り込む!
目次
"奇跡"の代償?エルサルバドル「非常事態宣言」という名の無法地帯
かつてエルサルバドルは、MS-13(マラ・サルバトルチャ)やバリオ18(エイティーンス・ストリート・ギャング)といった凶悪なギャング組織が国中に蔓延り、殺人発生率は世界最悪レベルという、文字通り「世界で最も危険な国」の一つでした。国民は暴力と恐怖に怯え、国の発展は妨げられていました。2019年に登場した若き大統領、ナイブ・ブケレ氏は、「ギャングとの戦争」を宣言。そして2022年3月、ギャングによるとされる殺人事件が異常なペースで急増したことを受け、彼は**「非常事態宣言」**を発令します。
本来、非常事態宣言とは、国家の存亡に関わる危機に際し、一時的に国民の権利を制限する最後の手段のはず。しかしエルサルバドルでは、この宣言が3年以上(2025年4月現在)、ブケレ大統領率いる与党が多数を占める議会によって、毎月のように更新・延長され続けているのです。この「非常事態」という名の恒久的な例外状態の下で、何が行われているか?
令状なしの逮捕が横行
警察や軍は、裁判所の令状なしに、誰でも「ギャングの疑いがある」と見なせば逮捕できます。例えば、情報提供のみに基づく身柄の拘束やギャングとの関係を示すタトゥーを根拠にした逮捕も普通に行われています。つまり、エルサルバドル側は "殺人犯や凶悪犯" のみ収容しているとしているが、実際には冤罪の温床になっているわけです。
長期の不当拘束
逮捕後、裁判にかける前に最大15日間も拘束することが可能に(通常は72時間以内)。
弁護士との接見権の制限
逮捕された初期段階で、弁護士に相談する権利すら制限(実質なし)されます。
通信の自由の侵害
政府は、令状なしに市民の電話やメールを傍受できます。
結社の自由の停止
政府に反対するデモや集会は、事実上封じ込められています。
副大統領が「我々は民主主義を解体し、新しいものに置き換えている」と公言するように、これはもはやギャング対策という名目を超えた、国家による国民への統制強化、そして民主主義の破壊そのものです。治安回復という「成果」は、国民の基本的人権という、あまりにも大きな代償の上に成り立っているのです。
「テロリストはここで朽ち果てろ」超巨大刑務所CECOTの内部告発
この強権政治の象徴として、2023年に鳴り物入りで開設されたのが、中米最大級の巨大刑務所CECOTです。「テロリズム拘禁センター」と名付けられ、公称4万人もの人々を収容できるとされています。

政府が公開する映像では、囚人服を着せられ頭を丸められた男たちが、整然と(屈辱的な姿勢で)移送され、管理されている様子が映し出されます。ブケレ大統領は、ここを「世界で最も批判されている刑務所」と自慢げに語り、ギャング撲滅の成果として世界にアピールしています。しかし、その壁の内側で繰り広げられている現実は、政府のプロパガンダとは全く異なります。 人権団体や、奇跡的に生還した元収容者たちの証言によって、その**「地上の地獄」**とも言うべき実態が、少しずつ明らかになってきています。
息もできないほどの「超」過密状態
1つの独房(本来の定員はずっと少ないはず)に、65人から100人もの人々が、文字通り寿司詰め状態で押し込まれています。刑務所全体の収容者数は、公式発表の収容能力を遥かに超え、10万人以上に達するとも言われています。
劣悪すぎる衛生環境
マットレスも枕もなく、冷たい金属製の棚やコンクリートの床で寝ることを強いられます。トイレや洗面台の数は圧倒的に不足し、プライバシーなど存在しません。供給される水は飲用には適さず、不衛生な環境で皮膚病などの感染症が蔓延しています。「不潔で病気がはびこっている」とは、元収容者の言葉です。
絶え間ない照明あるいは完全な暗闇
独房によっては、24時間、強烈な照明が点けっぱなしにされ、睡眠を奪われます。逆に、懲罰房では常に暗闇の中に置かれ、精神を蝕みます。
組織的な拷問・虐待の横行
これは単なる環境の悪さではありません。人権団体「クリストサル」などの報告によれば、治安部隊や刑務官による拷問や虐待が、組織的かつ日常的に行われている疑いが濃厚です。蹴る、殴る、警棒で打つ、電気ショック、窒息させる、催涙ガスを至近距離で噴射する…。想像を絶する暴力が、密室の中で繰り返されているのです。性的暴行の報告も後を絶ちません。
見殺しにされる命(医療ネグレクト)
病気になっても怪我をしても、まともな治療は受けられません。必要な薬も与えられず緊急の処置も行われない。多くの収容者が、治療を受けられずに命を落としていると報告されています。クリストサルの調査では、拘禁中の死者の約3割が、医療ネグレクトが原因とされています。
外部世界との完全な遮断
家族や弁護士との面会はほぼ不可能。手紙や電話も厳しく制限され、完全に社会から隔離されます。ブケレ大統領自身が「彼らは二度と外に出ない」と公言するように、ここは更生のための場所ではなく、人間を社会から永久に排除し、絶望させるための施設なのです。
これらの実態は、日本の憲法や国際人権法でも絶対的に禁止されている「拷問」や「非人道的な扱い」そのものです。エルサルバドル政府は、国際的な義務を完全に無視し、国家ぐるみで深刻な人権侵害を行っていると言わざるを得ません。そして、政府がアピールするCECOT以上に、外部の監視が全く及ばない他の既存刑務所では、さらに悲惨な状況が隠蔽されている可能性すらあります。
なぜアメリカが手を貸す?「刑務所ビジネス」という名の国家間取引
このエルサルバドルの非人道的な刑務所システム。信じがたいことに、その運営に超大国アメリカが、一枚噛んでいる、いや、積極的に加担しています。特に、トランプ政権下でアメリカとブケレ政権の関係は急速に深まりました。トランプは、ブケレのギャングに対する強硬策を「素晴らしい仕事だ」と公然と称賛。そして昨今では、両政府の間で驚くべき「取引」が行われたと報じられています。それは、アメリカが、主にベネズエラ出身者とされる人々(ギャング構成員と見なされた)をエルサルバドルの刑務所(CECOTを含む)に送り込み、その見返りとして、エルサルバドル政府に多額の資金(報道によれば600万ドル~1500万ドル)を支払うという合意です。
ブケレ大統領自身も、アメリカの刑務所システムの一部を「比較的安い料金でアウトソーシングする用意がある」と公言しており、この取引が単なる協力ではなく、**国家間の「刑務所ビジネス」**の様相を呈していることを隠そうともしていません。年間2億ドルもの運営費がかかるとされるエルサルバドルの刑務所にとって、このアメリカからの資金は喉から手が出るほど欲しいものでしょう。しかし、これは倫理的に断じて許されるものではありません。
アメリカは、自国で裁くべき(あるいは保護すべき)人々を、適正な手続き(裁判)も経ずに、人権状況が劣悪な他国の刑務所に事実上「押し付けている」のです。送還された人々の中には、アメリカでの有罪判決がないまま、18世紀の古い法律「外国人敵対法」を根拠に強制送還されたケースも多いと指摘されています。これは、憲法で保障された権利や、国際的な難民保護の原則(ノン・ルフールマン原則)を踏みにじる行為です。
さらに深刻なのは、アメリカが資金を提供し、ブケレ政権のやり方を称賛することで、エルサルバドルにおける人権侵害を助長し、それに「お墨付き」を与えてしまっているという事実です。人権を重視するはずのアメリカが、自国の都合のために、他国の人権蹂躙に加担する。これは、国家ぐるみの「共謀」と言っても過言ではないでしょう。
ギャングも市民も「疑わしきは罰せよ」誤認逮捕と崩壊した司法
ブケレ政権は「ギャングとの戦争」を宣言し、逮捕者を「テロリスト」と呼びますが、その実態はどうなのでしょうか?
人権団体などの報告によれば、非常事態宣言下で逮捕された8万人以上の人々の多くが、実はギャングとは無関係の一般市民である可能性が高いといいます。逮捕の根拠とされるのは、タトゥーがある、特定の地域に住んでいた、あるいは匿名の密告といった、極めて曖昧で不確かなものばかり。証拠が捏造されたり、弁護士もつけられないまま自白を強要されたりするケースも報告されています。
つまり、「疑わしきは罰せよ」という、近代法の原則とは真逆のことが、国家ぐるみで行われているのです。一度「ギャング」のレッテルを貼られれば、まともな裁判も受けられず、あの劣悪な刑務所に送り込まれ、尊厳も未来も完全に奪われてしまう。政府は数千人を「誤認逮捕だった」として釈放したと発表していますが、それは氷山の一角に過ぎません。
さらに恐ろしいのは、アメリカの最高裁などが「拘束は不当だ」と釈放を命じた人物でさえ、政府やエルサルバドルがその命令を無視して拘束し続けているという実態があることです。これは、もはや三権分立も、法の支配も完全に崩壊していることを意味します。
治安回復という「成果」のために、一体どれだけの無実の人々が犠牲になっているのでしょうか?これを「成功」と呼ぶことは、断じてできません。
この"平和"は本物か?メガプリズンが抱える時限爆弾
ブケレ政権下のエルサルバドルは、確かに表面上、殺人発生率が劇的に低下し、「安全」になったように見えるかもしれません。しかし、その「平和」は、いつ爆発してもおかしくない巨大な時限爆弾の上に成り立っている、極めて脆いものと言わざるを得ません。
自然災害のリスク
地震や火山活動も活発なエルサルバドル。もし大規模な災害がCECOTのような巨大刑務所を襲ったら?施設の損壊、多数の死傷者、そして管理不能な事態に陥るリスクは常にあります。
暴動・脱走のリスク
極限まで追い詰められた数万人の人々が、もし一斉に蜂起したら?劣悪な環境と絶望感は、いつ大規模な暴動の引き金になってもおかしくありません。もし刑務所の管理体制が崩壊し、多数の(本当の凶悪犯罪者もいる)囚人が脱走するような事態になれば、エルサルバドルの治安は一瞬にして崩壊し、周辺国にも計り知れない影響が及ぶでしょう。
強権によって無理やり押さえつけられた治安は、根本的な問題解決にはならず、常に崩壊のリスクと隣り合わせなのです。

エルサルバドルの人権危機!ブケレの「成功」に騙されるな
エルサルバドルの「治安回復」物語。それは、ブケレ政権とそれを支持する一部の国際勢力(特にアメリカ)によって巧みに演出された、人権侵害という名の「成功譚」に過ぎません。その華々しい成果の裏側では、法の支配は崩壊し、民主主義は踏みにじられ、数万もの人々が、人間としての尊厳を奪われ、「生き地獄」とも言える刑務所に閉じ込められています。拷問、虐待、飢餓、病気、そして死。これが、ブケレ政権がもたらした「平和」の真の姿なのです。
そしてこの非人道的なシステムに、アメリカが資金を提供し、協力しているという事実は、断じて見過ごすことはできません。これは、人権を掲げる国の偽善であり、国際社会に対する裏切り行為ともいえます。我々は、目先の治安改善という数字だけに目を奪われてはいけません。そのために支払われているあまりにも大きな「代償」に目を向け、声を上げなければなりません。エルサルバドルで起きていることは、決して遠い国の話ではありません。権力が暴走し人権が軽んじられ、真実が隠蔽される…。それは、いつ、どの国で起きてもおかしくない、我々自身の問題でもあるのです。
国際社会は、そして我々一人ひとりは、エルサルバドル政府と、それに加担する国々に対し人権侵害の即時停止、法の支配の回復、そして全ての被拘束者の尊厳の回復を、強く求め続けなければなりません。沈黙は、この非人道的な状況を容認することと同じなのですから。
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